全国医学部長病院長会議(会長=小川彰・岩手医科大学長)はこのほど、医学部の新設と急激な定員増に慎重な対応を求める要望書を鳩山由紀夫首相らにあてて提出した。臨床教員が不足している現状で、地域医療の中核を担う30-40歳代の病院勤務医が教員になれば、医療崩壊に拍車を掛けるとして、新たに医学部を増設することは「百害あって一利なし」と訴えている。
要望書では、経済協力開発機構(OECD)平均の医師数(人口10万人当たり300人)を目指している国の方針に賛意を示し、医学部の定員増についても「十分な財政的支援」の下、今後も協力するとしている。その一方で、医学部の新設と急激な定員増は医療崩壊をさらに悪化させ、国民福祉を後退させる可能性もあると警鐘を鳴らしている。
また、同会議の調査を基に、1つの医学部の運営には1大学当たり647.5人の臨床教員数が必要と説明。全国の病院勤務医数(大学病院を除く)は10万人当たり95.8人(2008年12月現在)で、人口100万人規模の都道府県の勤務医数は約960人となるため、この3分の2以上の医師が現場からいなくなるとしている。
さらに、6年後にはOECD平均の医師数に達し、10年以内に世界一になった後も増え続けることになると指摘。設備投資に多大な資金を投入し、教育者を雇用した後の定員削減は容易ではないとしている。
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