大鵬薬品工業は4月22日、がんの化学療法に伴う悪心(吐き気など)・嘔吐の予防に用いる5-HT3(セロトニン)受容体拮抗型制吐剤「アロキシ静注」を新発売した。同社によると、がんの化学療法に伴う悪心・嘔吐は、抗がん剤を投与した後、24時間以内に発現する「急性」と、24-120時間後に発現する「遅発性」があり、同剤は国内に有効な治療薬が少なかった遅発性への有効性も確認されている。
大鵬薬品によると、体循環によって抗がん剤が小腸に到達すると、小腸は抗がん剤を生体にとって危険な物質ととらえ、神経伝達物質であるセロトニンを排出。このセロトニンが自律神経の終末を刺激して、中枢にある化学受容器引き金帯(CTZ)に情報を伝達した後、CTZが悪心中枢にその情報を伝えることで吐き気が生じる。同剤は自律神経の終末にある5-HT3受容体に拮抗することで、CTZへの刺激伝達を遮断し、悪心・嘔吐を予防する。
また、同剤は既存の5-HT3受容体拮抗型制吐剤と比べ、血中消失半減期が約40時間と非常に長いため、遅発性悪心・嘔吐にも有効だという。
アロキシは、2004年1月に大鵬薬品がスイスのヘルシン社と締結したライセンス契約に基づき、国内で開発し、今年1月に製造販売承認を取得。既に世界63か国で承認されており、09年の全世界の売上高は約360億円。日本でのピーク時(17年度)売上高は60億円を見込んでいる。
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